● 6月28日
今日はまた山の奥地へと進んでいる。舗装されていない道をトヨタのバンでゆっくりと進む。携帯の電波もついに届かなくなった。
1時間近く道路に空いた穴を避けながら慎重に走った。こんな悪路はジープなら楽だろうが、次に信用できるのはトヨタだろう。
静寂が支配する山の谷間を抜けると、突然信じられないような絶景が広がった。周囲は誰もいない。
まるでパラダイスに来たかのような美しい光景に、友達と冗談を飛ばす。
「もしかして、私達はどこかで事故にあって死んでしまったのかもしれないね」と。
そこには何十種類ものハーブとフルーツが育てられているガーデンが広がっていた。
ファームではハーブを使ってエッセンシャルオイルを作っているという。
彼は「いろいろなハーブを摘んで食べてみて」と勧めてくれた。
どんな植物でも育つため、食べ物に困ることはないだろう。
ホテルに戻り、ドアを開けると、部屋がひどく荒らされていた。
ベッドのシーツはすべてめくられ、物が至る所に散乱している。
慌ててホテルのスタッフを呼ぶと、「猿が入って荒らしたんです」とのことだった。
お金もカードもパスポートも無事だったが、ベッドサイドに置いていたバナナとコーヒーのクリームがなくなっていた。
スタッフは「猿はベランダのドアがロックされていなければ入ってくることがあります。災難でしたね。他の部屋に移って休んでください」と言い、無事に解決した。